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石川真佑バレー脇:スパイクを支える肩・腕・体幹の秘密

By Andrew Mclaughlin

バレーボールをある程度観察してきたファンなら、気づくはずだ。石川真佑選手がスパイクを打つ瞬間、その腕の軌道と脇の開き方が、他の選手と微妙に異なることに。一見すると「普通のアウトサイドヒッターのスイング」に見えるかもしれない。しかし、細部を掘り下げると、そこには世界基準の身体操作が凝縮されている。

石川真佑のスパイクフォーム

石川真佑とはどんな選手か

石川真佑(いしかわ まゆ、2000年5月14日生まれ)は愛知県岡崎市出身の女子バレーボール選手。小学校3年生の時に兄・石川祐希らの影響でバレーを始め、中学時代には全日本中学校選手権大会に3年連続出場し2回の優勝を経験した。

下北沢成徳高等学校を経て、2019年に東レアローズに入団。2022-23シーズンには日本人選手のシーズン最多得点記録(735点)を樹立。その後、セリエA(イタリア1部リーグ)のイル・ビゾンテ・フィレンツェへ移籍し、さらに名門イゴール・ゴルゴンゾーラ・ノヴァーラでもプレーした。

現在はバレーボール女子日本代表の主将として、アウトサイドヒッターで攻撃の中心を担っている。 2026-27シーズンからはトルコの名門エジザジュバシュへの移籍も決まっており、そのキャリアはさらなる高みへと向かっている。

バレーにおける「脇」の重要性とは

スパイクやサーブで最大限の力を引き出すうえで、脇・肩・腕の連動は非常に重要な要素だ。一般的なスポーツ科学の観点から言えば、アタックの際に脇を適切に締めることで体幹からの力が腕全体へと伝わり、ボールへのインパクト力が増す。逆に脇が開きすぎると、肩関節に余分なストレスがかかり、スイングスピードも落ちてしまう。

バレーボールにおけるスパイクフォームは、大きく「テイクバック(腕を後ろに引く動作)」「肘の引き上げ」「スイング」「フォロースルー」の4段階に分けられる。この中で脇の使い方が最も影響するのは、テイクバックから肘の引き上げにかけての局面だ。腕を後ろに引きながら脇を適度に開けることで、肩甲骨まわりの筋肉が最大限に伸展し、スイング時に弓のように反発力を生む。

バレーボールスパイクの腕・脇のフォーム解説

石川真佑バレー脇の特徴:世界で戦える理由

石川真佑選手の身長は174cm。セッターやリベロを含めた女子日本代表選手の平均身長が175cm前後、スパイカーの平均身長が178cm前後であることを考えると、バレー選手としては小柄な部類に入る。 それでも世界最高峰のリーグで結果を出し続けているのは、身体的なサイズを超えた技術の精度があるからだ。

スパイクの際、石川選手は脇を意識的に絞りながら肘を高く保つフォームが特徴的とされている。肘が肩のラインよりも高い位置にある状態でスイングに入ることで、ボールへの接点が最高点に近くなり、角度のあるスパイクが打てる。身長差をフォームの精度でカバーするという、まさに日本人選手が世界で生き残るためのモデルケースと言えるだろう。

実際、そのスパイク最高到達点は300cm、ブロック時の到達点は290cmとされており、利き手は右手だ。 身長174cmでスパイク300cmに届くということは、跳躍力の高さはもちろん、腕の振り方と脇の使い方が最適化されていることを意味する。ミリ単位の技術が、センチメートルの差を生み出す世界だ。

脇・肩・体幹の連動が生むパワー

スパイクで最大のパワーを生み出すには、脇だけを意識しても不十分だ。脇の動きは「肩関節の外旋と内旋」「肩甲骨の引き寄せと前方回転」「体幹の回転」と密接に連動している。石川選手のプレーを映像で観察すると、ジャンプの頂点付近で体幹をひねりながら肘を高く上げ、腕を振り下ろす瞬間に脇が締まる動きが確認できる。この一連の動作の中で、脇の動きは「力を逃がさないための蓋」のような役割を果たしている。

また、打点の高さを保つためには体幹の安定が不可欠だ。ジャンプ中に体幹がぶれると、腕の軌道が崩れ、スパイクが安定しない。石川選手がイタリアセリエAという体格差のある環境でも高い得点力を維持できたのは、この体幹-肩-脇の連動が安定しているからこそだと考えられる。

イタリアセリエAでプレーする石川真佑

サーブにも表れる脇の精度

石川真佑選手はジャンプサーブとフローターサーブを使い分け、相手を揺さぶるのが得意で、サービスエースを奪うシーンも多く、試合の流れを一気に引き寄せる。

特にジャンプサーブでは、脇の使い方がサーブの質に直結する。トスを上げた後、ジャンプしながら腕を引いていく際に脇が適切に開くことでテイクバックが深くなり、打点が高くなる。脇を閉めすぎると腕が体に近くなりすぎてスイングスピードが落ちる。開けすぎると肩への負担が増す。その絶妙なバランスを保ちながら繰り出すサーブが、相手コートに突き刺さる強烈なアタックサーブだ。

フローターサーブでは逆に、コンパクトなスイングが求められる。脇を適度に締め、腕を振るよりも「押し出す」ように当てることで、ボールに回転を与えず、無回転の不規則な軌道を生み出す。石川選手が両タイプを巧みに使い分けられるのも、脇まわりの筋群と感覚の精度が高いからこそだ。

守備面での脇・腕の使い方

石川選手は攻撃だけでなく守備力も高く評価されており、相手にサーブで狙われても安定したレシーブを見せ、ラリー中も粘り強い守備でチームを引っ張る。2025年の世界バレー、ネーションズリーグではベストレシーバーランキング1位に輝いた。

レシーブ時の脇の使い方も、スパイクとは異なるが同じくらい重要だ。腕を組んでレシーブする「アンダーパス」の際、両腕の角度と脇の開き方によってボールの軌道が大きく変わる。脇を開きすぎると腕が斜めになり、ボールが横に飛んでしまう。逆に脇を締めすぎると両腕が胸に近くなり、レシーブ面が不安定になる。低くて前傾の姿勢を保ちながら脇の開き加減を微調整するのは、長年の反復練習が生む感覚的な技術だ。

小柄な体格で世界と戦うための身体的工夫

スパイカーとして174cmという身長は、国際大会では確かに不利な面もある。しかし石川選手はその制約を、跳躍力と腕の使い方で最大限に補ってきた。脇の角度を最適化することで打点が数センチ高くなり、相手ブロックの指先を越えるコースが広がる。細かなフォームの積み上げが、センチ単位の優位性を作り出す。

また、エースとして多くの攻撃を任されながら守備面でもチームを支える存在として2025年世界選手権の個人賞受賞時にも紹介されているように、石川選手はオールラウンドに機能できる選手だ。攻守にわたって高水準のプレーを維持するためには、身体への無駄な負担を減らすフォームが欠かせない。脇・肩・体幹を効率よく使うことは、長いシーズンを戦い抜く耐久性にも直結している。

日本代表主将・石川真佑

次のステージ:トルコへの挑戦と今後の進化

2026年5月にはエジザジュバシュ・ダイナモックス(トルコ)への移籍が発表され、本人のコメントとして「新しい国、新しいチームで挑戦できることをとてもうれしく思っている」と報じられている。 トルコのスーパーリーグはイタリアと並ぶ世界最高峰の女子バレーリーグのひとつ。より高い打点と強い体格の相手と日常的に対戦することで、石川選手のフォームや身体操作はさらなる磨きがかかるはずだ。

イタリアでの数シーズンで学んだ外国人選手のパワーに対応するノウハウが、トルコでも活きてくる。体の使い方、特に脇まわりの筋肉の使い方を継続的に磨くことは、海外トップリーグで生き残るための根幹となる。フォームの精緻化はキャリアの終わりまで続く作業であり、それこそが石川選手が世界水準で存在感を示し続けている理由でもある。

石川真佑バレー脇から学ぶこと

石川真佑選手の「脇の使い方」は、単なる身体的特徴の話では終わらない。それはバレーボールというスポーツにおいて、フォームの緻密さがどれほど大きな差を生むかを示す、生きた教材だ。身長174cmという数字だけを見れば、世界トップリーグで活躍するのは難しいと思う人もいるかもしれない。しかし、実際に彼女は日本人選手シーズン最多得点記録を樹立し、イタリアの名門クラブで戦い、日本代表の主将を務めている。

バレーボールに取り組む選手にとって、石川選手の身体操作は学びの宝庫だ。脇の開き角度、肘の高さ、体幹との連動。これらを意識的に練習に取り入れるだけで、スパイクの質もサーブの威力も変わってくる。「石川真佑のように打ちたい」という若い選手の目標が、具体的なフォームの研究へとつながるとき、彼女の存在は競技の未来を育てる力になる。世界に挑み続ける背中は、コート上だけでなく、見る者にも確かな刺激を与え続けている。